2013年11月3日日曜日

カーポヴェルデ ~日本ではほとんど知られていないアフリカの優等生~

どうも。日本はだいぶ涼しくなってきましたね。
今回は、先日訪れた国がどんな国なのかを知ろう、そんな趣旨の投稿です。行ったからには、気になるので。データと実感とを照らし合わせる、そんな作業ができたらいいなと思います。
かなり長くなってしまったので一回で読み切るには負担が重いかと思いますが、時間のある時にちらちら読んで頂ければ嬉しいです。



◆基本データ

1. 自然環境
[気候] 乾燥気候(年間降水量69.5mm、最低気温2月21.1℃、最高気温9月26.6℃)
[資源] 特になし

2. 社会
[人口] 494,401人
[首都] Praia、プライア
[政体] 共和制、半大統領制(任期5年)
[歴史] 旧ポルトガル植民地。奴隷貿易の中継地として利用されたが、19世紀以降は減少。
[宗教] カトリック
[言語] ポルトガル語、クレオール
[平均寿命] 71.28歳、146位
[妊産婦死亡率] 79人/100,000人、84位
[乳幼児死亡率] 25.13人/1,000人、77位
[識字率] 84.9%

3. 経済

[通貨] CVE、カーポヴェルデエスクード(1CVE=1.22円[2013年10月18日時点])
[産業] 観光業
[輸出品目] 農作物79.3%、鉱物資源0.9% 69,000,000USD
[輸出相手国] EU94.2%(スペイン66.6%、ポルトガル13.9%)、アメリカ5%
[輸入品目] 工業製品53%、農作物26.8%、鉱物資源20.1%、947,000,000USD
[輸入相手国] ポルトガル38%、オランダ21.4%、中国7.9%、スペイン7%(2012年時点)
[一人当たりGNI] 4,340USD

*参照資料

World Bank Cape Verde Overview http://www.worldbank.org/en/country/capeverde/overview
WTO Cape Verde Trade Profile http://stat.wto.org/CountryProfile/WSDBCountryPFView.aspx?Language=E&Country=CV
CIA World Factbook https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/cv.html
CapeVerde.com http://www.capeverde.com/




◆国家像の把握

0. 概観
前に書いたように、アフリカの一部とは信じられないくらいにカーポヴェルデは発展しているという第一印象を受けた。今まで見てきたアフリカ諸国とは違い、都市が整備されていて人々の身なりも良い。貧しいということをあまり感じさせなかった。
ウェブ上で入手できる範囲で資料を読んでいると、どうやらカーポヴェルデが発展しているのは事実だとわかった。その指標が、後発開発途上国(LDC, Least Developed Countries)からの脱却である。また、主幹産業は観光業でありヨーロッパからの観光客も多いらしい。自分がMindeloでフランス人カップルに遭遇したのもその表れということなんだろう。さらに、政治も選挙が公正に行われるなど安定しており、政治的にも経済的にも安定しているということで、アフリカの中ではやはり優等生らしい。
そこで、今出てきたトピックを中心に、カーポヴェルデとはどんな国なのか具体的に見てみる。



1. 貧困からの脱却

◎後発開発途上国からの脱却
カーポヴェルデはモルディブとともに後発開発途上国からの脱却が国連により認定された。後発開発途上国からの脱却基準は以下の通り。(UN Office of High Representative for the Least Developed Countries, Landlocked Developing Countries and Small Island Developing States http://www.un.org/special-rep/ohrlls/ldc/ldc%20criteria.htm より)

  • a low-income criterion, based on a three-year average estimate of the gross national income (GNI) per capita (under $750 for inclusion, above $900 for graduation);
  • a human resource weakness criterion, involving a composite Human Assets Index (HAI) based on indicators of: (a) nutrition; (b) health; (c) education; and (d) adult literacy; and
  • an economic vulnerability criterion, involving a composite Economic Vulnerability Index (EVI) based on indicators of: (a) the instability of agricultural production; (b) the instability of exports of goods and services; (c) the economic importance of non-traditional activities (share of manufacturing and modern services in GDP); (d) merchandise export concentration; and (e) the handicap of economic smallness (as measured through the population in logarithm); and the percentage of population displaced by natural disasters.

一つ目の一人当たりGNIについては、基本情報3.掲載の通り基準を満たしていそう。二つ目と三つ目の現状はどうかということで、MDGs (Millennium Development Goals、国連ミレニアム開発目標)の達成状況を調べてみた。




◎MDGs達成状況
入手可能なデータが限られており、8つ全ての目標を検討できたわけではないが、とりあえず見てみる。UN "Assessing Progress in Africa toward the Millennium Development Goals"(2013) http://www.undp.org/content/undp/en/home/librarypage/mdg/mdg-reports/africa-collection/ より

[Goal 1] Eradicate Extreme Poverty and Hunger

Target別のデータはあまり見つけられなかった。わかったのは、Target1.A(Halve, between 1990 and 2015, the proportion of people whose income is less than $1.25 a day)の達成率につき、都市と農村で3倍の格差があるということ。確かにPraiaを思い出してみると、中心地のプラトーを外れるとやや街並みが貧しくなったし、中心地の中でもホームレスのような貧しい人を見かけた。無料wifiが飛んでいる公園でネットを使っていた時に、物乞いに2回会った。成長には格差が伴うということなのか。
格差という点に関連して、男女間に貧困からの影響の受けやすさの格差があるらしい。具体的には、家事に従事する女性の労働価値が過小評価されがちであったり、そもそもの労働環境が悪かったり、待遇が悪かったり、ということだそうだ。んー、自分の例は思いつかない。ただ、後で出てくるように、カーポヴェルデはジェンダー間の平等は比較的達成されているようなので、そこまで深刻な問題ではないと推測する。

[Goal 2] Achieve Universal Primary Education

これについてはわりとデータがあった。まず、初等教育入学率
1999年:70%弱 → 2010年:93.5%
とかなり改善しており、達成まであと少しだ。本当は入学後に留年せずにちゃんと卒業するかが大事だったりするのだが、そこまでのデータはなかった。
次のデータが識字率である。
2010年:98.3%、男女間格差:1%程度
識字率の良し悪しは教育へのアクセス有無によって変わってくると考えられるので、原則として初等教育入学率に相関すると思われる。カーポヴェルデのデータもこれに則っている(例外的に、ルワンダやアンゴラなど内戦経験国では、入学率より識字率が低い傾向にある。初等教育低学年の生徒がまだ読み書きできないこと、内戦非経験国に比べて教育の質が低いこと、が要因か。)。

[Goal 3] Promote Gender Equality and Empower Women
得られたデータは初等教育入学率の男女間格差。
1990年から2010年へ低下。具体的数値は不明。

[Goal 4] Reduce Child Mortality Rate
Indicator4.1(Under 5 child mortality rate)1990年から2010年にかけて60%の改善が見られた。要因は複合的で、医療体制の強化、医療への投資増加、関連分野での支援展開、医療技術の進歩などが考えられる。Indicator4.2(Infant mortality rate)1990年から2010年にかけて60%の改善が見られた。

[Goal 5] Improve Maternal Health
Traget5.A(Reduce by 3 quarters between 1990 and 2015 the maternal mortality rate)は、100人/100,000人当たり。目標達成可能か不明だが、かなり前進している。

[Goal 6] Combat HIV/AIDS, Malaria and Other Diseases
Indicator6.6(Incidence and death rate related with malaria)で、75%改善し、大きく前進。現地の宿では窓に蚊帳がついてたし、ほとんど蚊はいなかった気がする。聞いた話ではカーポヴェルデではマラリアのリスクはないらしいし。マラリアは蚊により感染源から原虫が運搬されることにより発症するもので蚊自体にウイルスがあるわけではないため、感染者が少なければ比例して新規感染も減少する。

[Goal 8] Develop a Global Partnership for Development
このゴールに関連して、カーポヴェルデは貿易業発展のため支援を受けているらしい。それ以上の情報はない。Mindeloの港湾は漁船やら小さいボートやらばかりだったが、Praiaには大きな貨物船が停泊しており、カラフルなコンテナが積載されていた。中継貿易か。

*参照資料
World Bank "Cape Verde Fifth, Sixth, Seventh poverty reduction support credit project"(2013) http://documents.worldbank.org/curated/en/2013/06/18018967/cape-verde-fifth-sixth-seventh-poverty-reduction-support-credit-prsc-project



2. 
主幹産業は観光業
カーポヴェルデは、ロンリープラネットにて、カーニバルやビーチ、火山など文化や自然を楽しめる観光地と紹介されている。自分の場合は季節外れな訪問だったが、夕方のバーで開かれたドラムのコンサートを聞くことができた。また、プライアの宿に置いてあった世界のカーニバルを紹介する雑誌にはカーポヴェルデが大々的に取り上げられていた。ここ1年以内に発刊されたもので新しい。次は、観光業に焦点を当ててみる。

◎1990年代からの急成長

まず現在のデータについて、資料から転載する。
[観光収入] 352,000,000USD(2011年)
[観光収入の対GDP比] 15%(2011年)
[観光収入の成長率] 約25%(2008年)
[観光業労働人口] 27,800人(2011年)
[観光業労働人口の対全労働人口比] 13%(2008年)
[観光客数] 67,042人(1999年)から285,141人(2008年)
観光客数の爆発的増加からわかるように、2000年以前に観光業は盛んではなかった。しかし、援助資金や海外在住者からの送金への依存から脱却するため、政府主導で自然環境を活用した観光業に取り組むようになった。具体的な取り組みについて、いくつか触れる。

・ 空路交通網の整備

カーポヴェルデは島国であるため、空路が主な交通手段の一つとなっている。政府による観光業への注力と投資の結果、90年代にはSalにしかなかった国際空港も現在ではPraia、Boa Vista、Mindelo、Salの4つに増加した。また、セキュリティ強化の結果、Salの国際空港(Amílcar Cabral International Airport)のアメリカ政府による格付けが上げられ、アメリカからの直行便が飛ぶようになった。デルタ航空は週に2回、アトランタから東アフリカ・南アフリカに向かう便のストップオーバーとしてSalを使用している。ヨーロッパでは、リスボン、ローマ、ミラノ、マドリッド、パリ、アムステルダムへの直行便がある。また、カーポヴェルデにはTACV(Transportes Aereos Capo Verde)という国営の航空会社があり、国内線と国際線を運航している(http://flytacv.com/homepage/?lang=en)。

・ 開発区域の設定

「開発」というと語弊があるが、自然環境豊かなエリアを指定して観光地化したということである。政府がSal島とBoa Vista島の広大な土地を買い上げ、観光客誘致のための"Integrated Tourism Development Areas (ZDTIs)"と、多様な生態系保護と観光客誘致のための"Zones for Conversation and Protection for Tourism (ZRPTs)"を設定した。

最後に蛇足で、近年、富裕層の別荘地としてカーポヴェルデの人気があるらしい。



◎カーニバル

せっかくなので、どんなカーニバルをやっているのか調べてみた。すると、自分がMindeloにいた9/15にSalでフェスティバルをやっていたらしく、自分の調査不足が若干悔やまれる。しかしTACVの運行状況を調べてみるとスケジュールに合う便がなかったのでまあよしとしよう。
[Sao Vincente]
(1) Sao Vincente Creole Carnival:2月中旬
イースターの40日前の開催されるお祭りで、旧植民地のポルトガルとブラジルのカーニバルに雰囲気が似ているらしい。
(2) Sao Vincente Baia das Gatas Festival:8月の満月の日
たいてい、8月の週末に開催されるらしい。

[Boa Vista] Santa Isabel: 7月4日(祝)

Boa Vistaでは8月にSanta Cruzでいくつかフェスティバルが開催されるほか、Santa Isabelのお祭りが7月の祝日に開催されるらしい。

[Sal]

(1) Nossa Sra. De Piedade:8月15日
水泳大会とコンサートが開催されるらしい。
(2) Santa Maria Festival:9月15日
Santa Mariaにて1年に1回開催されるコンサートがこれ。

[Santiago]

(1) Gamboa Festival:5月17/18/19日
San Fransiscoの海岸で開催される、カーポヴェルデ最大のコンサート。海外からもミュージシャンが来るそうだ。
(2) Tabanka:6/7月
奴隷解放を祝うために開催されるお祭り。


*参照資料

 World Bank "Tourism in Africa: Harnessing for Growth and Improved Livelihood"(2013) http://www.worldbank.org/en/region/afr/publication/africa-tourism-report-2013
The Cape Verde Experience http://www.capeverde.co.uk/Docs/Cape-Verde-Guide/General-Information/Festivals.aspx



3. 政治的安定性

アフリカでは腐敗により援助資金が一般市民まで届いていないと言われる中、カーポヴェルデは民主化が進んでおり、政治的に安定しているらしい。まずは歴史をおさらい。

◎歴史

1975年にポルトガルから独立したのち、マルキスト共産党一党政権が15年存続した。しかし、民主主義政党の登場により共産党一党政権は終焉を迎え、1991年に行われた議会選挙・大統領選挙ともに民主主義政党が勝利した。これにより旧ポルトガル植民地で初めて共産党政権が崩壊し多党制民主主義政権が誕生した国となった。その後、2001年、2006年、2011年に選挙が行われたが、2011年の選挙の結果、大統領と首相が別個の政党から選出されることとなるなど民主制が定着していると見られる。現在も複数政党による政権運営が円滑に行われている。

*参照資料

Reuters "Cape Verde opposition concedes election defeat"(2011) http://www.reuters.com/article/2011/02/07/capeverde-election-idAFLDE7160UT20110207


◎現在の政治体制に対する評価
では次に、どれほどの政治的安定性があるのか、ということが気になる。本来であれば、選挙制度、共和制の具体的内容などを調べて考察するべきなのだが、能力と時間の制約上、そこまではできなかった。そこで、国際的に一定の評価を得ていると思われる2つの資料を参考に、政治的安定性の度合いを調べてみた。

(1)State Fragility Index And Matrix 2012

これは、8つの指標を設け、正当かつ実効的な支配を行っているかどうかを人口50万人以上の独立国について数値化して評価したものであり、8つの指標の合計数値がFragility Index(支配の脆弱性?)として最低25点から最高0点で表記される。例えば、

[20~25点] ソマリア、コンゴ民主共和国、、アフガニスタン、ミャンマーなど

[16点~19点] シエラレオネ、ブルンジ、ギニア、ハイチ、リベリアなど
[12点~15点] アルジェリア、ネパール、パキスタン、ザンビア、ガーナなど
[8点~11点] ブータン、ボリビア、ガボン、レソト、ニカラグア、フィリピンなど
[4点~7点] キューバ、フィジー、コソボ、リビア、ロシア、タイ、アルメニアなど
[0点~3点] ボツワナ、キプロス、モンテネグロ、UAE、アメリカ、日本など

といった分布になっている。次に8つの指標の中身を見てみると、国家の安全保障や、政治的安定性などを、自国で発生した紛争の数や休戦期間を基礎にして、政治体制、経済安定性などを、数値を基礎にして計算されている。

カーポヴェルデのスコアは6点で、国家としてかなり安定しているようだ。しかも、スコアを上げた原因は、一人当たりGDPとHDI(Human Development Index, UNDPが各国の開発の進展度合いを示すために開発した指標。参考:http://www.undp.or.jp/HDI-HDR%20release%20_J.pdf)がやや低かったことにあるため、政治的側面にマイナス要素があったわけではない。

*参照資料

http://www.systemicpeace.org/inscr/SFImatrix2012c.pdf (Polity IV Project http://www.systemicpeace.org/polity/polity4.htm より)

(2)2013 Ibrahim Index of African Government Summary Report

これは、アフリカ大陸諸国の統治を、"Safety and Rule Law"、"Participation & Human Rights"、"Sustainable Economic Opportunity"、"Human Development"の4つの指標から総合評価したものである。合計94のデータに基づいており、評価構造が細かく設計されている(評価構造については右を参照http://www.moibrahimfoundation.org/downloads/2013/2013-IIAG-structure.pdf)。
政治体制に関係するものは前者2つであるため、両指標に着目してみる。
[Safety and Rule Law]
カーポヴェルデは80.1で3位/53ヶ国である。下位指標の数値は下記の通り。
Rule of Law: 81.5(5位)
Accountability: 79.4(2位)
Personal Safety: 59.5(6位)
National Security: 100.0(1位)

[Participation & Human Rights]
カーポヴェルデは81.7で1位。下位指標の数値は下記の通り。
Participation: 96.2(1位)
Rights: 83.2(1位)
Gender: 65.6(14位)

*参照資料
ウェブ上で検索をかけている限りでは、国内の人権状況についてあまり詳細な分析はなされていないようだ。国際条約への批准有無についてはOHCHR(Office of High Commissioner for Human Rights)のサイトにまとめられていたので、そちらをまとめる。

◎国際条約への批准状況
[人種差別撤廃条約] O: 1979年批准
[国際人権規約] O:  1993年批准
[自由権規約] O:  1993年批准
[女子差別撤廃条約] O:  1980年批准
[拷問等禁止条約] O:  1992年批准
[児童の権利条約] O:  1992年批准
[ジェノサイド条約] X
[国際刑事裁判所ローマ規程] X
[難民条約、議定書] X


◎国内の人権状況
アメリカ政府による人権状況報告書2012年版にまとめられていたので、それを粗く訳してみた。
(1) 拷問または残忍で非人道的な処置、処罰
憲法、法律上では禁止されているが、警察による被逮捕者・被勾留者に対する暴力がケースが報告されている。拘留所への人権委員会の訪問は許可されており、水不足や衛生環境の悪化といったケースは報告されていない。
裁判官は、非暴力行為の事案で2年以下の懲役刑については中止を命ずることができる。懲役刑が中止された場合、囚人は社会復帰プログラムに組み込まれ、「社会にとって有益な労務」を行う。しかし、矯正担当官が不足している現状だ。
囚人や被勾留者には訪問者との接見や信教の自由が認められている。

(2) 恣意的な逮捕、勾留
警察には、国家警察と司法警察の2種類があり、それぞれ法の執行と捜査を担当している。しかし、車輛など交通手段や通信手段などが不十分であることが原因で、警察が本来期待されている機能を果たせていない。政府は、警察の実効性を高めるため、2011年と2012年に警察官を対象にワークショップを開催した。ワークショップは、性差別に起因する暴行についての講義や、その被害者に対するアフターケアを主な内容としており、2012年には最初の犯罪実行後の被害者保護に重点が置かれた。
警察は逮捕から48時間以内に勾留請求しなければならず、日本の72時間に比べて短い。しかし、保釈が制度として認められており、被勾留者は家族や選任した弁護士との接見が可能で、金銭的理由により弁護士を選任できない場合は、国選弁護人が選任される。

(3)憲法上の人権
日本の憲法上の権利の分類に従って、調べてみた。凡例は下記の通り。
O:おそらく無制限、△:制限あり、X:認めず
[信教の自由]  O
・  信仰の自由  O
・  強い政教分離も規定。個人の宗教の自由が侵害された場合、懲役3月以上3年以下の刑罰。
[表現の自由]  O
・  報道の自由  O
・  知る権利  O
[集会結社の自由]  O
[移動の自由]  O
[学問の自由]  O
[労働三権]  △
社会にとって必要不可欠な業種については、国家がストライキを強制的に中止する権利を有している。例えば、通信、医療、消防、司法などである。
[女性の権利]
強姦罪は最低懲役8年から最高懲役16年の刑事罰を課される。家庭内暴力は最低懲役2年から最高懲役13年まで。2011年3月には家庭内暴力への特別措置法が制定され、強姦罪などの刑事罰が重くなるなど女性に対する保護が手厚くなった他、女性の保護施設設立を求めるなど意識喚起の役割も担っている。しかし、予算不足で十分な数の施設が設立されるには至っていない。
セクハラへの対処も行われており、最高で1年の懲役と給与2年分相当の罰金が課される。
*参照資料
Human Rights Council "COMPILATION PREPARED BY THE OFFICE OF THE HIGH COMMISSIONER 
FOR HUMAN RIGHTS" http://lib.ohchr.org/HRBodies/UPR/Documents/Session3/CV/A_HRC_WG6_3_CPV_2_E.pdf
OHCHR "OHCHR Report 2012" http://www2.ohchr.org/english/ohchrreport2012/web_en/allegati/15_Africa.pdf
US Department of State "Cape Verde 2012 Human Rights Report" 
http://www.state.gov/documents/organization/204310.pdf Cape verde International Religious Freedom Report http://www.state.gov/documents/organization/208340.pdf


◆課題

1.食糧不足
カーポヴェルデの抱える深刻な問題の一つが、食糧自給率である。カーポヴェルデは乾燥気候にあるため、耕作可能な土地が国土の10%程しかなく、食糧を海外から輸入している。しかし、現在のところ食糧供給は安定しているようだ。詳細を後日加筆予定。
*参照資料

FAO STAT 国産農作物 http://faostat.fao.org/DesktopDefault.aspx?PageID=339&lang=en&country=35
FAO STAT 輸入農作物 http://faostat.fao.org/desktopdefault.aspx?pageid=342&lang=en&country=35
http://www.irinnews.org/report/83198/cape-verde-growing-food-without-soil
http://www.fao.org/giews/countrybrief/country.jsp?code=CPV



2.観光業発展の反動
・ 余りに急速な観光業の発展
既に触れたように2000年代に入ってから急速に観光業が成長したために、その社会や環境への影響を監視するシステムが追い付いておらず、生態系への悪影響につながっている。また、観光業成長の恩恵が国全体に行きわたっておらず、格差を生み出している。

・ 国内産業の成長遅れ

外資の入りやすい投資環境が形成されたのは良いが、水/衛生環境や食事、ゴミ収集、環境保護など、観光業を支えるインフラ整備が遅れている。その結果として、観光業の成長が貧困軽減に直結しないことが懸念されている。

・ より良い娯楽を提供するためのサービスの質の向上

観光業の成長により雇用機会が創出されているのはよいが、高い失業率のもとでは新規労働者の質が低く、改善が望まれる。

・ 観光客の局地的集中

カーポヴェルデを訪れる観光客の75%は、人口の10%程度しか居住していないSalかBoa Vistaに行くらしい。残りの90%の国民にその恩恵を拡散する役割が政府に期待される。